「なぁミシェル…泣きたいなら、泣いても――――」
「ねぇアルト、ちょっとだけ……抱きしめさせて?」

ミシェルが笑みを見せる。

燃えるような夕日に照らされて赤く染まったその瞳に、涙は見えなかったけれど――――――


この体を強く、強く、抱きしめ、小さく、小さく、震えるその腕が、身体が、

ミシェルも、強くて、優しくて、弱い人間なのだと、

俺に伝えていた。






 【 緋色の涙 】   10.09.04

 元ネタは、娘ドラの『トリガー・ブルー』。
 ミシェルは、血の涙を忘れたわけじゃなくて、自分ですら気づかない部分で泣きたい衝動を抑えているんだよ、という妄想。

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